タングステンの造形

パウダーベッド方式の金属3Dプリントでは各種材料が使われていますが、今後開発が進んでいくと思われる材料の一つにタングステンがあります。

タングステンは比重が19.3と大きいため放射線遮蔽能力が高いことと、鉛と比較して環境負荷が小さいため放射線遮蔽材として使われたり、融点が約3400℃と高いため熱処理炉など高温になる材料として使われたり、また非常に硬く合金化して工具として使われたりと、他の金属にない特性を持っています。

しかし、同時に加工が難しい材料として知られています。

金属3Dプリントでは、ニアネットシェイプで作ることができるためより複雑な形状を作れるようになることが期待されています。

タングステンの造形品は、CT用の部品として使われています。[1] [2]

ただし、高融点で溶融時の粘度が高いため造形は難しく造形品の緻密化の難しさや割れの発生などの課題があるためまだ研究段階です。

粉末を球状化することで、造形品の相対密度を96%まで向上させることができたという報告もなされており今後の進展が見込まれます(Fig.1)。[3]


Fig.1 (a) Scanning electron microscopy (SEM) images showing the morphologies of (a) polyhedral and (b) spherical tungsten powders;
and SEM images showing the top surface of tungsten parts fabricated using (c) polyhedral and (d) spherical powders. [3]


このように従来工法では加工が困難な材料も、金属3Dプリントによって活用の幅が広がる可能性があります。


参考文献

[1] Cem Altunbas,Brian Kavanagh, Timur Alexeev, and Moyed Miften, Transmission characteristics of a two dimensional antiscatter grid prototype for CBCT, Medical Physics, 2017 Aug; Vol.44(8):3952-3964
[2] https://www.dunlee.com/c-dam/dunlee/3d-metal-printing/news/Dunlee_WhitePaper_Tungsten.pdf
[3] Dianzheng Wang, Chenfan Yu, Xin Zhou, Jing Ma, Wei Liu, Zhijian Shen, Dense Pure Tungsten Fabricated by Selective Laser Melting, Applied Sciences 2017; 7(4), 430
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