超々ジュラルミンの造形 - 金属3Dプリンターに関する最新情報収集の場としての金属学会 -
国内における金属3Dプリンターの最先端の情報を得られる場の一つとして、公益社団法人日本金属学会[1]を紹介します。年2回、春と秋に講演大会が開催されます。直近では2019年3月20日から22日に東京電機大学で春期講演大会が開催されました。
Fig.1 エントランス
金属学会では、セッション[2]ごとにそのテーマに沿った講演が集中して行われます。
三日間通して合計で500を超える講演が行われ、金属の組織・物性に関する内容はもちろんのこと、鉄鉱石などの金属材料の貿易統計から日本の立ち位置を読み解いた研究や、材料科学の学習教材の開発など、金属にまつわる幅広い内容をカバーしています。中でも、二日目には「Additive Manufacturing・テーラーメード医療材料」と題して集中的に3Dプリンター関連の発表が行われるセッションがあり、また、当該セッション以外にも、「粉末材料」や「Ti・Ti合金」といった各セッションの中に、3Dプリンター関連の発表が含まれていることも多く、金属3Dプリンターに関わる方には有益な情報収集の場であると言えます。
前回、前々回にて、超々ジュラルミンの造形が困難である理由を紹介しましたが、Al・Al合金のセッションにおいては、7000系アルミニウム合金の造形に関する先端的な講演もあり、技術革新を起こすべく、さまざまな取り組みが試されていることが確認できました。さらに研究が進み、造形可能な7000系アルミニウム合金が広く市場に出回れば、鉄系材料からの置き換えで軽量化を実現できる分野も増えると考えられます。
また、ラティス構造やトポロジー最適化設計など、さらなる軽量化を実現するポテンシャルが3Dプリンターにはあるため、今後の3Dプリンター用高強度アルミニウム材料の研究の発展が期待されています。
参考
[1] 公益社団法人日本金属学会:https://jimm.jp/
[2] セッション:https://www.jim.or.jp/journal/m/pdf3/58/03/2019_spring.pdf