導入事例
導入事例
二輪OEM
ヤマハ発動機株式会社


ヤマハ発動機株式会社は、世界トップクラスのシェアを誇るバイクをはじめ、マリン製品、電動アシスト自転車、ロボティクス製品など、人々の暮らしを支える幅広い事業領域を展開しています。
同社では、2025年から2027年度の重点施策の一つとして、コア事業の競争力強化に取り組んでいます。また、持続的な成長を遂げるために、IT・デジタル・データを活用し、会社の仕組みをシンプルに変革することを推進しています。
こうした方針のもと、同社のホイールグループでは、業務プロセスの効率化や品質向上、新たな価値創出に向けた取り組みが求められていました。
解析は完了しているにもかかわらず、報告書作成により開発が停滞するという課題に対し、本取り組みはその解消を目的として実施しました。
設計から解析、作図に至る設計開発業務において、一部の3Dモデル作成工程では効率化が進んでいたものの、解析領域では自動化の難易度が高く、効率化に取り組むための時間を確保することが難しい状況が続いていました。
特に、解析報告書の作成は多くの工程を人手で行う必要があり、現場に大きな負担となっていました。さらに、解析業務をほかの担当者に依頼する場合には、解析モデルの荷重値などの解析条件が正しく設定されているかを確認する作業も求められていました。このような人手作業は、ホイールグループに限らず、ほかの開発部門にも共通する課題となっていました。
また、ホイールの解析では、応力・変位・固有値など多様な解析が実施されており、その特性から、ほかの部品への技術展開にも適していると考えていました。そのため、ホイールの解析を開発全体への横展開に向けた効率化活動の題材として選定し、設計・解析の知見を持つ要件定義からツール構築まで伴走可能なSOLIZE PARTNERSと共に推進することにしました。

本格的なツール構築の前段階として、まず現状の工程を可視化し、各工程にかかる工数を明確化しました。続いて、何が自動化できるのかについて技術的な観点から実現性を検証し、効率化の範囲やツールの具体的なイメージを整理しました。そのうえで、「解析報告書作成工数82%削減」を目標に活動をスタートしました。
要件定義フェーズでは、普段の業務フローについて徹底的なヒアリングと手順確認を行い、「何の目的で、どのような作業を行っているのか」という本質的な部分まで深く理解することを重視しました。
ツールの仕様検討にあたり、作業者の負荷を軽減し、誰でも迷うことなく操作できるユーザーインターフェース(以下、UI)の実現を目指しました。そのうえで、現状の業務手順を変更することなく、直感的かつ簡単に使えることの両立を重視し、業務フローとシームレスに連携できるよう設計しました。具体的には、現状の解析モデル作成手順を変更することなく、追加の負担をかけずに、作成されたメッシュごとに最大応力値を取得できる仕組みを定義しました。また、解析モデルの仕様を事前に入力するだけでUIと解析モデルが連携できる仕組みを定義し、ユーザーの操作性向上を目指しました。
こうしたプロセスを通じて、現場の作業負担を増やさず、従来の業務フローを維持できるよう、活動初期から徹底して検討を重ね、業務効率化と使いやすいUIの実現を目指した要件定義書を作成しました。

解析報告書の作成は多くの工程を人手で行う必要があり、ホイールグループに限らず、ほかの開発部門にも共通する課題となっていました。そこで、この開発全体の課題を解決するため、一般的なツールでは特定の部品専用として仕様が固定されがちですが、今回はその固定部分を柔軟に変更できるようにすることで、多様な部品や業務にも対応可能な汎用性の高い解析連携システムの構築に取り組みました。
活動開始時から開発全体への横展開を見据え、各開発部門の報告書を比較・分析し、フォーマットや業務フローの違いを踏まえて、多様なニーズに応えられる要件・仕様の体系化を進めました。さらに、ツールの仕様が固まりきる前の段階でトライアルを実施し、ホイール専用機能にとどまらず、他部品を担当する解析実施者からの意見も取り入れることで、現場のフィードバックを迅速に反映する方針としました。
具体的には、取得する応力値やキャプチャ画像の名称・表示方向・拡大倍率・断面位置、変位やアニメーションの表示設定など、報告書作成に必要な各種出力条件および表示項目を、ホイール以外の部品に対しても柔軟に設定できる仕組みとし、現場ごとの運用や追加要望にも対応できるよう設計しました。加えて、UI上で半自動的に作成可能な解析結果出力表と解析モデルを柔軟に連携できるシステムとすることで、ほかの開発部門におけるさまざまな解析モデルにも展開可能な基盤を構築しました。
これらの取り組みにより、ホイール部品だけでなく他部品のニーズにも柔軟に対応し、工数78%削減を実現する解析報告書作成ツールの基盤を開発全体に横展開できるよう整備しました。

解析報告書の作成工数を大幅に削減できる解析報告書自動化ツールを構築しました。従来、手作業で行っていた重量・慣性モーメント・荷重値などの解析条件や、応力値・変位値などの解析結果の転記、各解析結果のコンタ図のキャプチャ作成、固有値動画の出力、加振点・応答点の選択から応答解析グラフ作成までの煩雑な一連の工程を自動化する仕組みを実現しました。また、報告書表紙作成サポートやキャプチャ修正サポート、新規ファイルでの報告書作成機能も搭載しました。荷重設定値の自動取得を実現することで、解析モデル内部の確認作業の省力化と、ヒューマンエラーによる品質不良の防止が可能となりました。
特に、応答解析グラフ作成工程や、取得したキャプチャを自由に変更する機能については、技術的な難易度が高く、活動の途中までは実現性が不明確な課題でした。しかし、活動を進める中で、これらの課題に対してアジャイル開発手法を用いて取り組んだ結果、最終的には応答解析グラフ作成の自動化や、キャプチャ取得時の状態を結果ラベル付きでCAD上に再現し、ユーザーが柔軟に変更や再取得を行える仕組みを実現することができました。業務プロセスに即した設計によりツール実行前の準備を数十秒で完了できるシンプルな運用と、手作業の自動化を徹底的に追求したことによって、最終的に、解析報告書作成工数82%削減を実現しました。

解析報告書自動化ツールは、品質(Q)・納期(D)・コスト(C)のすべてにおいて高い効果を発揮しています。
Q:品質確保
手作業による抽出・転記ミスを防ぐことでヒューマンエラーを排除
レイアウトを標準化することで、報告書の統一性を向上
D:工数削減
報告書作成の自動化により作業スピードが向上し、リードタイムを短縮
属人的作業が排除されたことで、納期遅れのリスクを低減
C:人依存からの脱却
効率化によって生まれたリソースを付加価値の高い業務へ再配分
標準化によって新人教育や業務引き継ぎの負担を軽減
これにより、解析業務のボトルネックが解消され、開発全体のリードタイム短縮に寄与しました。


解析報告書自動化ツールの構築により、同社のホイールグループでは解析報告書の即時作成が可能となり、製品開発におけるQDCの大幅な向上が見られました。将来的には、本取り組みを通じて、設計者がより付加価値の高い業務に専念できる体制の整備を目指しています。
こうした成果は、部門内の報告会や全社技術展示会などで積極的に発信され、高い評価を得ています。これを契機に、さらなる部門への横展開が進み、ホイール以外の部品や領域においても、開発業務効率化に向けた取り組みがスタートしています。
今後は、本取り組みを開発全体へと波及させることで、業務効率化や標準化のさらなる推進が期待され、組織全体の生産性および競争力の一層の向上が見込まれます。
「解析報告書作成の自動化を実現したことで、作業効率の大幅な向上につながりました。報告書の品質が安定した結果、必要な情報の検索や条件間の比較が容易となり、後工程である設計業務においても迅速な検討が可能になっています。私たちの業務フローに寄り添ってシステムを構築いただいたことで、実務に即した使い勝手の良い仕組みとなりました。今後は類似の題材にも適用範囲を拡大していきたいと考えています。」

モーターサイクル車両開発本部
MC車両開発統括部 機能モジュール開発部
部長 大橋 聡 様
「今回、設計における定常業務を外部パートナーの知見を取り入れながら圧縮することで、効率化と品質の安定化を同時に実現することができました。また、SOLIZE様には弊社の要望に対してさまざまな提案をいただき、この高い完成度に至ったと感じています。今後は、本件を成功事例として、開発全体への展開を進めていきたいと考えています。」

モーターサイクル車両開発本部
MC車両開発統括部 機能モジュール開発部
ホイールグループ
グループリーダー 新見 大 様
「AI、IoT、ビックデータの活用といったデジタル技術の発展によって、競争力が加速度的に高まるなか、我々もお客さまに新しい製品を届けるために現場力を高めることが非常に重要なミッションだと考えています。今回の解析報告書自動化ツール構築の取り組みは、目に見えて成果を上げる結果となり、ヒューマンエラーも未然に防ぐことができる仕様となりました。今後も今回のツール開発を起点として、現場力の向上を図ってまいります。」

モーターサイクル車両開発本部
MC車両開発統括部 機能モジュール開発部
ホイールグループ
シニアチーフ 山口 昌也 様
※所属部署・役職は本活動推進時のものです
※3DEXPERIENCE、Compass アイコン、3DS ロゴ、CATIA、BIOVIA、GEOVIA、SOLIDWORKS、3DVIA、ENOVIA、EXALEAD、NETVIBES、MEDIDATA、CENTRIC PLM、3DEXCITE、SIMULIA、DELMIA およびIFWE は、アメリカ合衆国、またはその他の国における、ダッソー・システムズ (ヴェルサイユ商業登記所に登記番号B 322 306 440 で登録された、フランスにおける欧州会社) またはその子会社の登録商標または商標です。
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