Ni基超合金造形品のスキャンストラテジーと金属組織の関係

前回はAlSi10Mgのスキャンストラテジーと金属組織の関係性を紹介しましたが、今回は同様の手法によるNi基超合金に関する研究を紹介します。

H.Y.Wan[1]らがInconel 718に適用したスキャンストラテジーをFig.1に示します。
毎層同一スキャン方向の(a)をX試料、積層ごとに90°スキャン方向が回転する(b)をXY試料と呼びます。


Fig.1 2種類のスキャンストラテジー


Fig.2各試料の極点図と逆極点図
[(a)(b):X試料、(c)(d):XY試料]


上記2つのストラテジーによって造形された試料の極点図および逆極点図をFig.2に示します。
X試料ではスキャン方向(x)と積層方向(z)に沿った<001>方向の弱い集合組織が確認されます。
一方でXY試料ではスキャン方向に沿った<001>方向の立方体集合組織が確認され、そのピーク強度はX試料に比べておよそ3倍高い値が検出されています。
スキャン方向が90°回転するストラテジーで、高いピーク強度が検出される結果はTaの造形においてもみられます。[2]

しかし、これらの傾向は前回[1]のAlSi10Mgの結果とは逆になっています。
それぞれの研究の結果は異なっていますが、粉末材料、セッティングパラメータ、装置など影響因子は複数あり、個々の考察からその相違の整合性を読み取るには材料が足らず、横断的な研究が必要とされています。


参考文献

[1] Wan H, Zhou Z, Li C, Chen G, Zhang G, Effect of scanning strategy on grain structure and crystallographic texture of Inconel 718 processed by selective laser melting, Journal of Materials Science & Technology, 2018, vol.34 (10): p1799-1804
[2] LoreThijs,Maria LuzMontero, Sistiaga Ruben, Wauthle Qingge, Xie Jean –Pierre Kruth, JanVan Humbeeck, Strong morphological and crystallographic texture and resulting yield strength anisotropy in selective laser melted tantalum, Acta Materialia, 2013; Vol.61: p4657-4668

関連コラム

お問い合わせ

お電話でのご相談

受付時間(平日)10:00-12:00、13:00-17:00​

3Dプリンター​ パーツ製造

3Dプリンター ​販売・保守

おすすめ資料・サンプル

タグ一覧

※3DEXPERIENCE、Compass アイコン、3DS ロゴ、CATIA、BIOVIA、GEOVIA、SOLIDWORKS、3DVIA、ENOVIA、EXALEAD、NETVIBES、MEDIDATA、CENTRIC PLM、3DEXCITE、SIMULIA、DELMIA およびIFWE は、アメリカ合衆国、またはその他の国における、ダッソー・システムズ (ヴェルサイユ商業登記所に登記番号B 322 306 440 で登録された、フランスにおける欧州会社) またはその子会社の登録商標または商標です。
※Ansys®、及びその他すべてのANSYS, Inc.の製品名は、ANSYS, Inc.またはその子会社の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※BETA CAE Systemsの会社名および製品の商標、商号、ロゴは、スイス、欧州、米国、およびその他の国の法律に基づき保護および/または登録されている場合があります。無断での使用または複製は固く禁じられています。
※出典:アルテアエンジニアリング株式会社