製品開発を進化させるSOLIZEのCAE技術 - ドローンフライトシミュレータ技術開発 -

近年、設計開発現場においてデジタル技術の活用によるさらなる変革が求められている中、CAE技術は重要性を増しています。SOLIZEは、CAE技術単体の利活用のみならず、CAE技術×最先端デジタル技術によるデジタルエンジニアリングをつなぐ次世代のCAE技術で、お客さまの開発を支援しています。本コラムでは、CFD(3D CAE)×MBD(1D CAE)によりリアルタイムに流体外乱をフィートバックする、SOLIZEのドローンフライトシミュレータ技術について紹介します。


目次

  1. ドローンの利用拡大と課題
  2. 従来のドローンフライトシミュレータ
  3. CFDを活用したリアルタイムに流体外乱をフィートバックするSOLIZEのドローンフライトシミュレータ技術


ドローンの利用拡大と課題

人口減少、人手不足等が叫ばれる中、ドローン技術の重要性は日々増しています。今や保守点検、農業、建築、防災、監視、アミューズメント等の分野で広く活用されており、注目が集まっています。同時に、飛行環境の多様化によりドローンに求められる安全性はより厳しくなっており、時に障害物が多いような飛行に不利な環境であっても、安定飛行できることが求められます。

ドローンが周囲の環境に影響を受ける代表的なものに「地面効果」が挙げられます。これは、ドローンが地面付近を飛行する際にプロペラの推力が上昇し、まるで地面付近にクッションがあるかのような挙動を示す現象のことを指します。ドローンの制御の観点からすると、このような力は「外乱」という扱いになり、安定性を悪化させる要因になります。またトンネルなど、屋内やビル壁付近の点検を行うようなドローンの場合、地面からだけではなく周囲の壁からも、自身が発生する風によりあおられるなどの現象が発生します。

ドローンの開発者はこのような現象を予測したうえで、よりロバストに制御モデルを洗練していくことが求められます。一方、ドローン操縦者側もこのような挙動が起こることをある程度念頭において、操作習熟することが求められています。



従来のドローンフライトシミュレータ

ドローンフライトシミュレータは3Dデジタル空間を活用し、外で飛ばすことなく、手軽に操作習熟や制御開発における確認ができるため、その活用の幅が広がっています。フリーで使える習熟用シミュレータとして有名なものに「DJI Flight Simulator」があります。さまざまなシーンが用意されており、実物のコントローラーを使用してリアルな飛行体験ができます。ドローン開発者用のシミュレータとしては、オープンソースのFCS(フライトコントローラー)に付随していることが多く、これも並行して活用されています。

一方で、周囲に障害物が多い環境を飛行する際に問題となっている「地面効果」や「壁付近で自身が発生する風によりあおられる」といった流体力学的な現象を再現できる一般的なシミュレータはまだ存在しません。


CFDを活用した、リアルタイムに流体外乱をフィートバックするSOLIZEのドローンフライトシミュレータ技術

SOLIZEではCFD解析とドローンの制御モデルを組み合わせて、「地面効果」や「壁付近で自身が発生する風によりあおられる」といった現象をリアルタイムに再現できるフライトシミュレータ技術を開発しました。

通常、CFD解析はある瞬間を切り抜いて計算を行うのが一般的で、その結果を得るためだけでも多くの計算時間を要します。仮に、CFDと制御モデルを接続して機体の移動を伴う大規模シミュレーションを行おうとした場合、莫大な計算コストがかかり、操縦者が求めるリアルタイム性が失われてしまいます。

そこでSOLIZEでは、事前にドローンのCFD解析を実施し、そのデータをもとに壁付近や地面付近で挙動の乱れを引き起こす力を瞬時に推定できる流体外乱力としてパッケージ化する技術を開発しました。このパッケージをドローンの物理・制御モデルと組み合わせることで、リアルタイムに「地面効果」や「壁付近で自身が発生する風によりあおられる」といった効果を再現することに成功しました。これを用いることで、障害物による空力影響のある環境内を飛行させる際の操作習熟や、ロバストな制御開発の加速、安全性評価など幅広い分野での活用が期待できます。

現在、大学・研究機関・ドローンベンチャーと協業を進めており、より実機に近い挙動をシミュレータ上で実現するため、技術開発を日々行っています。


◆◆◆

SOLIZEでは、設計、解析、MBD、3Dプリンティングの技術を組み合わせ、お客さまの課題解決、および価値創出に貢献します。当社の解析サービスは、音振、衝突、マルチボディシミュレーション、CFD、電磁界といったおおよその自動車開発に必要なCAE領域をカバーしているほか、最適化解析、1Dと3D解析の連携、3Dスキャン、3Dプリンティング、解析から実験までの支援などを通して、CAE単体の枠を超えたサービスを提供しています。

関連コラム

お問い合わせ

お電話でのご相談

受付時間(平日)10:00-12:00、13:00-17:00​

おすすめ資料・サンプル

タグ一覧

※3DEXPERIENCE、Compass アイコン、3DS ロゴ、CATIA、BIOVIA、GEOVIA、SOLIDWORKS、3DVIA、ENOVIA、EXALEAD、NETVIBES、MEDIDATA、CENTRIC PLM、3DEXCITE、SIMULIA、DELMIA およびIFWE は、アメリカ合衆国、またはその他の国における、ダッソー・システムズ (ヴェルサイユ商業登記所に登記番号B 322 306 440 で登録された、フランスにおける欧州会社) またはその子会社の登録商標または商標です。
※Ansys®、及びその他すべてのANSYS, Inc.の製品名は、ANSYS, Inc.またはその子会社の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※BETA CAE Systemsの会社名および製品の商標、商号、ロゴは、スイス、欧州、米国、およびその他の国の法律に基づき保護および/または登録されている場合があります。無断での使用または複製は固く禁じられています。
※出典:アルテアエンジニアリング株式会社