XRが実現する3Dデータ活用の未来

ものづくりにおいて「三現主義」の徹底は非常に重要であり、実際に現場で現物を確認し、現実を認識した上で問題の解決を図ることが、品質の基本とされています。

同時に、バーチャルエンジニアリングやデジタルツインのように、バーチャル空間でのシミュレーションやリアルの再現なども進み、3Dデータの活用の範囲が広がってきています。


1.背景

1.1 3Dデータ活用の進化

現在は、設計段階でのCADモデリングや構造シミュレーションだけではなく、製造、生産技術や検査工程など幅広い領域で3Dデータの活用が行われています。また、開発プロセス全体を通して関連部門間でのデータ連携の強化が求められており、PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)やPDM(Product Data Management:製品情報管理、製品データ管理)の重要性が非常に高まっています。

1.2 XRの進化

XR(Extended Reality)とは、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)やMR(複合現実)などの総称です。デバイスの進化とともに、年々仮想的に体感できる環境が整いつつあり、また体感できる質も向上してきています。

1.3 製造業でのXR活用事例

製造業分野ではおもに「製造や保守・点検などの実作業トレーニング」「設計・試作シミュレーション」等でXRが活用されており、作業習熟の効率化、現物がない段階での検証による、リードタイムやコストの削減といった大きなメリットを生んでいます。

2.3Dデータ × XR の取り組み事例

SOLIZEでは、3Dデータをシームレスに仮想空間上に投影させることに加えて、さまざまなデバイスやソフトウェアを用いて設計製造プロセスにおけるXRの活用に取り組んでいます。

2.1 ハンドジェスチャーでCADデータを操作し、VRやホログラムに投影

VRヘッドセットにより、リアルの視界が遮られた状態での作業性を向上させるため、VRコントローラーではなく、「LeapMotion※」を用いたハンドジェスチャーにて操作を行います。また、VRヘッドセットを装着していない人にも3D描画を共有するために、ホログラムディスプレイを用いることも可能です。


  • 両手の下にある「LeapMotion」で手の動きをセンシングします。
  • 3Dデータは、objファイルにするだけで、VRでの表示や空間の設定はゲームエンジンであるUnityを使用します。
  • Unityでの設定完了後、表示するデバイスは通常のモニターやVRやホログラムなど、用途に合わせて選択可能です。

2.2 仮想空間(VRやホログラムディスプレイ)と同じ挙動を現実でも再現

ハンドジェスチャー操作を実機(ハードウェア)にもリアルタイム通信し、仮想空間と同じ挙動を行うことで、現実と仮想空間の差を視覚的に理解し、課題の早期発見などを行います。


  • 仮想空間だけでなく、ロボット(ここで使用しているのはレゴ社のMINDSTORMS EV3)もLeapMotionを使ったハンドジェスチャーで操作可能です。
  • ここでは、LeapMotionの座標系を取得し、MINDSTORMSの進行方向を決めています。
  • Unityを用いることで、ロボット(現実空間)とVR(仮想空間)を同期させることが可能です。

3.まとめ

XR技術の進化に伴い、製造業においても製造プロセス自体に大きな変化を起こせる可能性が高まってきました。現実空間に仮想空間を付与するARやMRと、完全仮想空間のVR、それぞれ特性が異なり用途によって使い分けることが必要になりますが、リアルとバーチャル空間の距離をリアルタイムにつなげる可能性を持っているという点では一致しており、これによりデジタルツインを代表するような、大きな製造プロセス改革を実現できると考えています。


◆◆◆
SOLIZEでは、さまざまなデバイスやソフトウェアを組み合わせた設計開発支援を行っています。お気軽にお問い合わせください。



※LeapMotion:2012年にLeap Motion社から販売された手のジェスチャーによってコンピューターの操作ができる入力機器。 マウスや画面タッチを用いずに操作ができる体感型のシステムで、ジェスチャーによって直観的に操作することが可能

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※出典:アルテアエンジニアリング株式会社