導入事例

トヨタ自動車「e-Palette」の量産部品に
SOLIZE PARTNERSの3Dプリント品を採用

産業機器

株式会社豊田自動織機

参考画像:e-Palette  
出典:https://global.toyota/jp/

参考画像:樹脂ウインドウとピン座 
画像提供:豊田自動織機様

「e-Palette」の豊田自動織機の樹脂ウインドウについて

参考画像:樹脂ウインドウ
画像提供:豊田自動織機様

多品種少量生産と高品質の両立――
最終製品としてSOLIZE PARTNERSの3Dプリント品を採用

「e-Palette」の樹脂ウインドウは、大型かつ特殊な形状をしているため、ウインドウを車体に取り付けるための「位置決め用部品(ピン座)」などの部品が不可欠です。自社で部品設計から製造までを進めるなか、今回のプロジェクトは1台あたり14種類もの部品を少量生産する必要があり、従来の金型製造ではコストが膨大になるという課題がありました。この課題を解決するため、豊田自動織機は樹脂ウインドウへ3Dプリント品を採用しました。

3Dプリント品を最終製品として採用するためには、耐久性、寸法精度、耐熱性、耐荷重性、耐衝撃性といった厳しい品質基準をクリアする必要があります。複数の製造方式および企業を比較検討した結果、SOLIZE PARTNERSのHP Jet Fusionを用いた3Dプリント品がこれらの品質基準を満たすとともに、コスト面においてもメリットを示すことができました。

SOLIZE PARTNERSでは、3Dプリント品を最終製品に活用できるよう徹底した品質管理体制があると同時に、コストを最適化するため設計・製造提案を積極的に行いました。こうした点も高く評価され、採用の大きな決め手の1つとなり、今回のプロジェクトのパートナーとして選出いただきました。

共創で推進した評価・設計・製造・品質保証の取り組み

3Dプリント品を最終製品として採用するにあたり、まず強度や耐久性などの物性評価から着手しました。ダンベル試験による材料特性や接着強度の検証を行い、その結果に基づいて部品設計と評価を繰り返しました。
設計段階では、SOLIZE PARTNERSから生産技術要件やコスト最適化を見据えた多様な設計提案を行いました。特に、ピン座の大きな特徴である「ナット固定形状」は両社でアイデアを出し合い、組み付けやすさと爪形状の耐久性を両立させた最適な形状を実現しました。
ピン座の設計を進めるなかで最大の課題となったのは、寸法精度でした。3Dプリンターは射出成形と比較して、寸法にバラつきが生じやすい特性があります。試作段階では許容できていた誤差も、最終製品では課題となります。
そこで、ピン座の品質管理面からトライ&エラーを重ね、バラつき精度の向上を図りました。
具体的には、造形時の配置に応じた個別の収縮率設定から、造形後の品質管理に至るまで、細心の注意を払ったフローを構築しました。
また、3Dプリンターの強みである「設計自由度の高さ」と「迅速な試作サイクル」を活かし、設計変更や改善を即座に反映できたことも、プロジェクトをスムーズに進めるうえで大きな武器となりました。

3Dプリンターによる量産のメリット

3Dプリンター製ピン座部品の採用により、従来の製法では困難だったさまざまな効果を得られました。

  • 金型レスによるコスト削減と短納期化
    1台あたり14種類におよぶ多品種部品を、金型を製作せずに製造。初期投資と製造コストを抑制しつつ、部品ごとに異なる形状にも柔軟かつ迅速に対応可能
  • 設計自由度の向上と一体造形による効率化
    工法上の制約が緩和されたことで、樹脂ウインドウの曲面形状に合わせた最適設計と従来の金型では困難だったナット固定形状の一体造形を実現。設計負担の軽減とともに、部品の機能性向上に寄与
  • 誤組防止対策への個別対応
    多品種にわたる部品の識別性向上と誤組防止のため、品番ごとに固有の突起形状(ガイド)や刻印を付与し、組み付け作業時の視認性向上とヒューマンエラーによる誤組防止に貢献

これらの成果により、3Dプリンターによる量産技術は、「多品種少量生産」「高度な設計自由度」を求める現場において、非常に有効なソリューションであることを実証しました。

Interview

ご担当業務およびプロジェクトのミッションについてお聞かせください

私たちの所属する部署では、樹脂ウインドウの企画から開発、生産までを一貫して担当しています。私たちのミッションは、この樹脂ウインドウ技術を世の中に広めていくことです。少人数のチームですが、「設計から生産まで、最初から最後まで」担当しています。

 

「e-Palette」に採用されている樹脂ウインドウのおもな特長について教えてください

「e-Palette」の樹脂ウインドウは、大型かつ曲面形状にも対応できる点と、その軽量性がおもな特長です。また、樹脂ウインドウは万が一の事故の際にも割れにくく、乗員が車外に投げ出されるリスクを低減できるという安全性も兼ね備えています。

左から
株式会社豊田自動織機 PGプロジェクト 開発第1G GM 水谷 勇一様
株式会社豊田自動織機 PGプロジェクト プロジェクトリーダー 加藤 淳哉様

3Dプリンターをピン座として採用するに至った背景についてお聞かせください

株式会社豊田自動織機 PGプロジェクト 開発第1G 村山 篤史様 

今回のプロジェクトはピン座部品の設計から調達までを自前で行う必要があり、さらに生産台数が少ない一方で、1台あたり14種類もの多品種部品が求められました。従来の金型を用いた射出成形ではコストが見合わないため、別の製造方法を検討した結果、3Dプリンターによる製作を採用しました。

 

SOLIZE PARTNERSにご依頼いただいた理由や経緯を教えてください

量産製品に採用する部品を製造するとなれば、どのような3Dプリンターでもよいというわけにはいきません。材料強度や寸法精度、耐熱・耐荷重性など、さまざまな性能を高水準でクリアし、かつコスト面でも納得できることが必須条件でした。

プロジェクト初期には社内の3Dプリンターで試作を行いましたが、強度不足による破損が課題となっていました。そこで社内の3Dプリンター担当部門に相談したところ、紹介されたのがSOLIZE PARTNERSさんでした。

依頼先を検討するなかで、3Dプリンターによる部品製造が可能な企業はほかにも多々ありましたが、最終製品としての品質管理や保証まで対応できるのはSOLIZE PARTNERSさんだけでした。また、コスト抑制に向けた具体的な提案も数多くいただけたため、本プロジェクトのパートナーとして選定しました。

3Dプリンターをピン座として採用するに至った背景についてお聞かせください

今回は3Dプリンターの特性を活かし、射出成形では実現できない複雑形状を一体化する設計を採用しました。SOLIZE PARTNERSさんと共に、ナット固定部や側面突起の形状など、知恵を出し合いながら設計を進めました。
特にナット固定部については、寸法のバラつきを抑えつつ、ナットの保持力と爪の破損防止を両立させるため、生産性とコストを考慮した微調整を繰り返しました。
「3Dプリンターなら常に同一の造形ができる」と考えていましたが、実際には造形位置による冷却速度の違いが、反りや寸法精度に影響することを学びました。
このように想定していなかった課題に対しても、SOLIZE PARTNERSさんと協力して細やかな工夫を積み重ねることで、目標とする精度を実現できました。
また、私たちでは3Dプリンター特有の設計要件がわからない部分も多かったのですが、設計段階で「この構造では3Dプリント後の粉末除去が困難である」といったご指摘をいただきました。
「粉末を除去しやすくするための構造案」や「コスト抑制につながる形状変更」など、3Dプリンティングの特性を熟知したアドバイスを多数いただき、私たちが及びつかない視点でのサポートがとても助かりました。

3Dプリンターを採用されたことによる効果や、運用後の所感をお聞かせください

初めての3Dプリンターによる量産部品設計ということもあり、苦労もありましたが、設計者としては結構ワクワクするところが多かったです。通常、金型成形では抜き勾配やアンダーカットなど、常に型の構造を意識した制約が生じます。一方、3Dプリンターはそういった制約が極めて少なく、寸法のバラつきの課題は多少ありますが、従来以上に自由に設計を進めることができました。
また、設計変更の容易さや試作サイクルの速さは3Dプリンターならではのメリットであり、試作から量産まで、迅速なトライ&エラーを重ねることで課題解決を図ることができました。

今後の展望をお聞かせください

本プロジェクトを通じ、3Dプリンターによる多品種少量生産の優位性を身をもって実感しました。今後も、樹脂ウインドウの強みである「軽さ」「割れにくさ」「形状自由度」を武器に、その価値を広く社会に浸透させていきたいと考えています。特にスポーツカーなどの少量生産車種においても、樹脂ウインドウの需要は今後さらに高まっていくと考えています。今回得られた知見を活かし、3Dプリンターも積極的に活用しながら展開していきたいと考えていますので、SOLIZE PARTNERSさんには引き続き、技術的なサポートや提案を期待しています。

左から 豊田自動織機 水谷様、加藤様、村山様、SOLIZE PARTNERS 沼田
※所属部署・役職はインタビュー当時のものです

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※出典:アルテアエンジニアリング株式会社